犬と猫のフィラリア予防について
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暑い季節になると蚊が増え、多くの方が不快な思いをします。この蚊は、実はペットの命を脅かす存在でもあります。蚊に刺されることで「フィラリア症」という病気に感染し、心臓や肺に深刻な影響を及ぼすのです。しかし、適切な予防を行えば、ほぼ100%この病気から愛犬・愛猫を守ることができます。室内飼いのペットでも、蚊はわずかな隙間から侵入してくるため、しっかりとした予防が不可欠です。
今回は、フィラリアから大切なペットの命を守るための効果的な予防方法をご紹介します。
フィラリア症について
フィラリア症とは、蚊を介して感染する病気で、フィラリアという寄生虫が体内(特に心臓や肺)に寄生することで発症します。
感染初期には特に症状は見られませんが、体内でフィラリアが成長するにつれて心臓や肺にダメージを与え、咳や呼吸困難、腹水などの心臓病の症状が現れます。重症化すると死に至ることもあります。この病気は犬だけでなく猫にも感染します。特に猫は検査での診断が難しく、症状が重くなってから気づくことがほとんどで、時には症状がないまま突然死することもあります。
フィラリアに感染してしまったらどうするの?
一般的には「治療法はない」と思っていただいた方が良いと思います。自然治癒を待ちながら症状を緩和する治療を継続するという消極的な対応が一般的です。
時に,心臓や血管から寄生虫を取り除く外科手術が実施されることがありますが,これはリスクの高い大掛かりな手技となるため、一般の動物病院では実施できないことがほとんどです。また、手術後も生涯にわたる治療が必要となることも多く,実施されるケースは少ないと思います。
フィラリアの予防方法
フィラリアの予防はとてもシンプルです。最も効果的な方法は、月に1回の予防薬の投与です。予防は蚊を見かけるようになったら開始し、蚊が見られなくなってから1ヶ月後まで継続しましょう。当院では4月から12月まで(飼育状況によっては通年)の予防を推奨しています。
また当院では、春のご来院時に予防薬を1年分まとめて購入される方もいらっしゃいますし、飲み忘れを防ぐために毎月1回分ずつ購入される方もいます。次回の予防薬購入時期になると、当院からお知らせをお送りするシステムを導入していますのでご活用ください。
予防薬の種類について
当院では複数の予防薬を取り扱っています。以下に各予防薬の特徴をご紹介しますので、選択の参考にしてください。
ネクスガードスペクトラ(犬)
- オールインワン型(フィラリア予防とノミダニ予防が一体型)
- おやつタイプ
フィラリア症の予防、ノミ・マダニとお腹の虫の駆除ができます。牛肉風味で美味しく食べやすいため、おやつ感覚で与えることができます(本物の牛肉は使用していません)。ジャーキーなどのおやつが好きな子におすすめです。
クレデリオプラス(犬)
- オールインワン型(フィラリア予防とノミダニ予防が一体型)
- 錠剤タイプ
フィラリア症の予防、ノミ・マダニとお腹の虫の駆除ができます。食べやすいようビーフフレーバーが添加されています。そのまま与えたり、砕いてチュールやご飯に混ぜることもできます。普段おやつをあまり食べない子には、ネクスガードスペクトラよりもこちらの方が与えやすいためおすすめです。
アドボケート(犬)
- フィラリア,ノミ予防
- スポットタイプ(皮膚に垂らすタイプ)
フィラリア症の予防、ノミ・ヒゼンダニとお腹の虫の駆除ができます。食べるタイプの予防薬を拒否する子におすすめです。マダニの予防は含まれていないため、マダニも予防したい場合は別途マダニ予防薬を併用する必要があります。
ミルべマイシンチュアブル(犬)
- フィラリア予防のみ
- チュアブルタイプ
フィラリア症の予防とお腹の虫の駆除ができます。美味しく食べやすいよう国産牛肉を使用しています。ノミ・ダニ予防は含まれていないため、その予防も必要な場合は別途ノミ・ダニ予防薬を併用してください。
アドボケート(猫)
- フィラリア,ノミ予防
- スポットタイプ(皮膚に垂らすタイプ)
フィラリア症の予防、ノミ・ミミダニとお腹の虫の駆除ができます。食べるタイプと違い、拒否や吐き出しの心配がなく確実に予防できます。
ネクスガード キャットコンボ
- オールインワン型(フィラリア予防とノミダニ予防が一体型)
- スポットタイプ(皮膚に垂らすタイプ)
フィラリア症の予防、ノミ・マダニとお腹の虫の駆除ができます。シリンジタイプで使いやすくなっています。アドボケートよりも幅広い寄生虫に効果があるため、外出する猫におすすめです。
予防薬の使い方
ジャーキー(おやつ)タイプ
おやつとして直接食べさせることを前提に作られていますので、予防薬を直接与えるか、普段のご飯に混ぜて与えてください。
錠剤タイプ
直接飲んでくれる子であればそのまま投薬してもよいですが、一般的にはおやつや普段の食事と一緒に与えてください。また、錠剤を粉状にして、食事やおやつに混ぜてもかまいません。水分が多めの食事やおやつの方が混ぜやすく、与えやすくなります。
スポットタイプ
口が届かない頭の後ろ部分の毛をかき分け、皮膚に直接垂らします。投薬後30分間は、他のペットが薬を塗布した部分を舐めないよう注意してください。また、投薬後数日間はシャンプーや入浴を避けることをおすすめします。
まとめ
現在、かなくぼ動物病院ではワンちゃんは70%以上の飼い主様が予防を実施されており,猫ちゃんも予防される方が急増しています。
平均気温の上昇に伴う飼い主さんの意識変化に併せて、フィラリア症はワンちゃんだけでなく,猫ちゃんも予防することが当たり前になってきているように感じます。フィラリア症は月に1回の予防薬投与だけでほぼ100%予防できる病気です。まだ予防を始めていない方も、この機会にぜひ検討してみませんか? 予防を検討されている方は、お気軽にご相談ください!