猫の病気日常ケア
猫の尿検査について
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今回は「猫の尿検査」についてお話します。
猫ちゃんの飼い主さんの中には、「うちの子の健康は気になるけれど、病院に連れて行くのが大変で...」と,健康診断をあきらめてしまう方もみえるでしょう。そんな病院大嫌いな猫ちゃんでも行える健康チェック,それが尿検査です。尿検査は尿をご自宅でお取りいただくだけでOK。
今回はそんな尿検査でどのようなことが分かるのか、どのように尿を採取したらよいのかについてご説明します。
1.尿検査とは
猫ちゃんは、泌尿器にトラブルが起きやすい動物です。実際、当院に受診される猫ちゃんは、泌尿器に関するトラブルを抱えている方が多いと感じます。こうした泌尿器に関する病気やトラブルの早期発見ができるのが尿検査です。尿検査で発見できる病気として、泌尿器系の疾患(膀胱炎、尿石症、腎臓病)以外にも肝疾患やホルモン疾患などがあり,その範囲は意外と広いのです。
膀胱炎
膀胱炎には、細菌によるもの、結石によるもの、ストレスによるものなど、様々な種類があります。尿検査では、主に細菌性のものと結石によるものを検出し、その結果をもとに治療に進みます。頻繁にトイレに行っているがあまり尿が出ていないなどの症状が見られたらまずは尿検査です。
尿石症
尿を生成、排出するまでの過程で、石のような結晶ができてしまうことを「尿石症」と言います。原因は主に体質と食生活です。
尿石は腎臓病や膀胱炎となるだけでなく,尿道に詰まってしまうと全く排尿ができない状態(尿道閉塞)になります。排尿ができない状態では,体内に老廃物や毒素がどんどんとたまり,短時間で命にかかわる事態へと発展していきます。そのため,ご自宅でも日常的に尿の排出量をチェックし、もし尿が出ていないかもと思ったらすぐに動物病院を受診するように心がけてください。
尿石症の治療は,基本的にはお腹を開いて石を体内から取り除く「手術」になります。そうならないためにも,日々の尿検査と生活改善の見直しがとても重要なのです。
腎臓病
猫ちゃんには特に多く、進行すると命に関わる恐ろしい病気です。基本的に「治すことができない」病気ですので,早期に発見し進行を遅らせる対策がとても重要なのですが,重篤化するまで、はっきりとした症状が現れません。そんな腎臓病でも、定期的に尿検査を行うことで,その異変にいち早く気づくことができるのです。
その他にも様々な体の異常を発見する手掛かりになりますので、元気なうちから検査を行い、愛猫の健康を守りましょう!
2.尿の取り方
システムトイレ(オススメ!)
システムトイレとは、トイレの内部が二段構造になっており、上段のすのこに専用の猫砂を、下段のトレーにペットシーツなどの吸収材を設置する形のものです。このタイプのトイレは,採尿が極めてカンタンです。
採尿の際には,下段の吸収材を外しておき,猫ちゃんが排尿した後に、トレーにたまった尿を採取します。トレーが汚れてしまうのが気になる方は、ペットシーツを裏返しておいたり、採尿用の容器を置いておくのもよいでしょう。
排泄時に直接キャッチ
猫ちゃんがトイレで排尿を始めるタイミングで,お玉などのおしっこを受けられるような物をお尻の下にセットし、直接採取します。猫ちゃんの性格やトイレの形状によっては難しいこともありますが、やってみると意外とうまくいくケースも多いです。
また,ウロキャッチャーという採尿用の道具を使うのも有効です。棒の先に吸収材が付いており、そこに尿を吸い込ませます。
猫ちゃんが尿をするタイミングでウロキャッチャーをお尻の下あたりにもっていき採尿します。
尿を吸収させたら,ウロキャッチャーを袋に入れ,そのまま病院にお持ちください。
検査を実施するために,尿を清潔な容器に入れてください。未使用であれば市販の醤油さしのような物でもOKです。当院では尿検査用の容器の配布(無料)と,ウロキャッチャーの販売を行っておりますので、ご希望の方は受付までお声がけください。
どの取り方も,猫ちゃんが嫌がる場合は、速やかに違う方法を試してみましょう。しつこく行うことで猫ちゃんがトイレを嫌がり,必要以上にトイレを我慢してしまったり,排泄を失敗したりすることにつながります。
尿がとれたら
尿採取後は、検査の精度を下げないためにも、早めに病院までお持ちください。病院にお持ちいただける日に,採尿にチャレンジしていただくことをおすすめします。受付時間内であれば、受付にてお預かりさせていただきますので、ご予約は不要です。検査には少しお時間をいただきますので、半日後以降に予約を取っていただき、検査結果を聞きにご来院ください。
ご不明な点等ございましたら、受付または、お電話にてお問い合わせください。