ノミ・ダニの予防について
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春から秋にかけて特に活発になるノミやダニ。お散歩やドッグランなど、ワンちゃんが外に出る機会が増えるほど、ノミやダニに寄生されるリスクは高まります。またノミやダニは,飼い主さんの衣服について室内に持ち込まれることも多いため,室内飼育のワンちゃん,猫ちゃんも油断はできません。
「最近、うちの子が体を痒がっている」「犬・猫のノミ・ダニ予防って具体的に何をすればいいの?」「いつまでノミやダニの予防を続ければいいの?」
当院のある豊田市にお住まいの飼い主様の中にも、ワンちゃん,猫ちゃんのノミ・ダニ予防について、いつから始めれば良いのか、どんな予防薬を選べば良いのか、お悩みの方もいらっしゃるかと思います。 本コラムでは、ワンちゃん,猫ちゃんのノミ・ダニ予防の重要性から、具体的なノミ予防・ダニ予防の方法、効果的なノミ・ダニ予防薬の種類と選び方まで、詳しく解説します。大切な家族を厄介なノミ・ダニから守るために、正しい知識を身につけましょう。
なぜノミ・ダニ予防が必要なの?
ノミやダニは,自然の中に生息している寄生虫です。ダニの中でも大型で吸血をするダニを「マダニ」といいます。ノミやマダニは私たち人間だけでなく,犬や猫にも寄生するため,そこから様々な健康被害を引き起こします。
ノミが引き起こす主な症状・病気
- 激しい痒み、皮膚炎(ノミアレルギー性皮膚炎)
- 貧血(大量寄生の場合)
- 瓜実条虫(サナダムシ)などの内部寄生虫の媒介
- 猫ひっかき病(稀に犬も保菌)
マダニが引き起こす主な症状・病気
- 皮膚炎、痒み
- 貧血(大量寄生の場合)
- 犬バベシア症
- ライム病
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
【重要】重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
近年ニュースなどで取り上げられることも多い,マダニに刺されることで感染する疾患です。感染した犬・猫を介して人間にも感染するリスクがあり,重篤化しやすく死亡率も高い恐ろしい病気です。犬の死亡率は25%,猫は60%(!),人間においても30%だと言われています。ここ愛知県でも多くの感染の報告があがっていますので、自然が多い豊田市にお住いの飼い主様もご自身やご家族の健康を守るために、しっかりとした予防対策が不可欠です。
[参照:国立感染症研究所 感染症発生動向調査で届出られたSFTS症例の概要]
ノミ・ダニ予防はいつから?
ノミやマダニは一般的に春から秋(気温が13℃以上になる時期)に活動が活発になります。しかし、近年の気候変動や暖房の普及により、冬場でもノミやマダニの活動が見られるようになり,ノミ・マダニの予防は通年で行うことが推奨されるようになってきています。
特に、草むらや山林など、ノミやダニが多く生息する場所に頻繁に行くワンちゃんは、年間を通した予防を強くおすすめします。
予防薬にはどんな種類があるの?
ノミ・ダニ予防薬の選び方
ノミ・ダニ予防薬には、様々な種類があります。一般的な予防薬のタイプを以下にまとめました。それぞれの特徴を理解し、愛犬・愛猫のライフスタイルや体質、飼い主様の使いやすさなどを考慮して、最適なものを選んでください。
また,ノミ・ダニ予防薬には動物病院以外で販売されている市販薬もあります。一見安価な市販薬ですが、そこには大きな違いがあるので注意が必要です。一般的に動物病院の薬は効果が高く(駆除率ほぼ100%)比較的長期間効果が持続します。一方、市販薬は効果が低く(駆除率60%程度)持続期間も短いです。また、動物病院ではそれぞれの子の体質や体調に合わせて薬を選択するため,安全性も高く副作用リスクを減らせます。
結局のところ、市販薬は短期的には安価に見えても、効果不足で頻繁に使用することになったり、予防が不十分となり治療が必要な状態になってしまう可能性があり、長期的には高コストになることも多いのです。
「うちの子にはどのノミ予防薬がいいの?」「予防薬の副作用が心配...」など、どのノミ・ダニ予防薬が愛犬に最適かについてはお気軽にご相談ください。
お一人お一人の体質や普段の生活環境に合わせた最適な犬のノミ・ダニ予防プランをご提案し、健康管理をサポートさせていただきます。特に、豊田市は自然豊かな公園や緑地も多く、ワンちゃんがお散歩を楽しむ機会も多いかと思います。そうした環境では、ノミやマダニとの遭遇リスクも高まりますので、しっかりとした予防対策をお願いします。
スポットタイプ(滴下式)
首筋の皮膚に直接液体を垂らすタイプで、月に1回の投与が一般的です。投薬の難しさがないため使いやすいのですが,体の部位によって効果にムラが出やすく,ときに感染を許すことがあります。またシャンプーの影響を受けることがあるため、投与前後のシャンプーのタイミングに注意が必要です。
経口タイプ(チュアブル、錠剤)
おやつ感覚で食べさせられるチュアブルタイプや錠剤タイプがあります。月に1回の投与が一般的です。血液に吸収され体の中から効果を発揮するため、全身くまなく効果が認められ,シャンプーの影響を受けにくいのが特徴です。ノミ、マダニ、フィラリアなど、複数の寄生虫に効果があるオールインワンタイプが当院では人気です。
ご家庭でできるノミ・ダニ対策
ノミ・ダニ予防薬の使用と合わせて、ご家庭でも次のような点に気をつけて飼育を行っていただくことで,より効果的にノミ・ダニの発生を抑えることができます。
散歩後などにブラッシングをすることで、体に付着したノミやダニを早期に発見・除去できます。また、室内のカーペットやソファ、犬の寝床などをこまめに掃除機をかけたり、洗濯をすることでノミの卵や幼虫、ダニの繁殖を防ぐことに繋がります。さらに、草むらや藪など、ノミやダニが多く潜んでいそうな場所へ行く回数を減らすことで、ノミやダニが体につく可能性を減らすことができます。
まとめ
ノミ・ダニは愛犬・愛猫の健康を脅かすだけでなく、私たち人間の健康にも影響を及ぼす可能性があります。愛犬・愛猫と共に健康で快適な生活を送るために、日ごろからの予防が非常に重要です。「うちの子は室内飼いだから大丈夫」と思わずに、定期的なノミ予防・ダニ予防を心がけましょう。
犬・猫のノミ・ダニ予防やノミ・ダニ予防薬についてご不明な点やお困りのことがございましたら、どうぞお気軽に当院までご相談ください。