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【獣医師監修】犬の目が赤いのは病気のサイン?考えられる原因と病院に行くべき症状を解説

監修:かなくぼ動物病院 院長 獣医師 金久保要

「あれ、なんだかうちの子の目が赤い...」

「しょぼしょぼさせて痛そうにしている...」

愛犬の目の変化に気づいたとき、飼い主様は大きな不安に駆られることと思います。

「目にゴミが入っただけかな?」「何かのアレルギー?」「もしかして、何か大変な病気だったらどうしよう...」と、次から次へと心配事が頭をよぎるのではないでしょうか。特に、言葉で痛みを伝えられない愛犬の様子を見ていると、すぐにでも動物病院に受診すべきか、それとも朝まで様子を見ていいのか、判断に迷ってしまうこともあると思います。

犬の目が赤くなる原因は、一時的な軽い刺激から、放置すると失明につながる可能性のある重大な病気まで、実にさまざまです。

この記事では、犬の目が赤くなる主な原因、ご自宅でできること、そして「これは危険なサイン!」という動物病院へ行くべき症状について、獣医師が詳しく解説します。

飼い主様の不安を少しでも和らげ、愛犬のために適切な行動がとれるよう、正しい情報をお伝えします。

犬の目が赤くなるのはなぜ?

「犬の目が赤い」といっても、その原因は多岐にわたります。犬の目が赤い原因は大きく分けて、「病気ではない一時的な反応や軽いトラブル」と「注意が必要な病気」の2つに分類できます。

  • ゴミやホコリなどの異物混入
    散歩中に草むらに入ったり、風が強い日に屋外にいたりすると、小さなゴミやホコリが目に入ることがあります。これが刺激となり、一時的に目が赤くなることがあります。

  • シャンプーなどの化学的な刺激
    シャンプーやコンディショナーが目に入ってしまい、その刺激で充血することがあります。

  • 軽度のアレルギー
    ハウスダストや花粉などがアレルゲン(アレルギーの原因物質)となり、結膜が炎症を起こして赤くなることがあります。かゆみを伴うことが多いです。

  • 興奮やストレス
    ワンちゃんが強く興奮したり、精神的なストレスを感じたりすると、血圧が上昇して一時的に目の血管が拡張し、赤く見えることがあります。興奮やストレスが収まれば、自然と元に戻ることがほとんどです。

  • 目をこすったなどの物理的刺激
    何かが気になって前足で目をこすったり、家具などにぶつけたりした直後も、一時的に赤くなることがあります。

目の赤みが続く、痛がる、他にも症状が見られるといった場合は、病気が隠れている可能性があります。

  • 結膜炎(けつまくえん)
    まぶたの裏側を覆っている「結膜」という粘膜に炎症が起こる病気です。
    アレルギー、ウイルスや細菌の感染、異物による刺激など、原因はさまざまです。目が赤くなるほか、目やにが増えたり、かゆがって目をこすったりする様子が見られます。

  • 角膜炎(かくまくえん)・角膜潰瘍(かくまくかいよう)
    黒目の表面を覆っている「角膜」に炎症や傷ができた状態です。
    目をこすりすぎたり、外傷を負ったりすることで発症します。強い痛みを伴うため、犬は目を開けにくそうにしたり(しょぼしょぼする)、涙がたくさん出たりします。

  • ぶどう膜炎(ぶどうまくえん)
    目の中の「ぶどう膜(虹彩・毛様体・脈絡膜)」という部分に炎症が起こる病気です。
    感染症や免疫の異常、他の全身性疾患の一症状として現れることもあり、原因の特定が難しい場合もあります。目が赤くなるほか、まぶしそうにする、黒目が小さくなるなどの症状が見られます。

  • 緑内障(りょくないしょう)
    目の中の圧力(眼圧)が異常に高くなることで、視神経が圧迫されてダメージを受ける、非常に危険な病気です。
    強い痛みを伴い、目が赤くなるだけでなく、目が大きく見えたり、黒目が白っぽく濁ったりすることがあります。
    治療が遅れると数日で失明に至る可能性もある、緊急性の高い病気です。

  • ドライアイ・乾性角結膜炎(かんせいかくけつまくえん)
    涙の量が減少し、目の表面が乾燥することで炎症が起こる病気です。
    目が赤くなり、ネバネバとした粘り気のある目やにが特徴的です。シーズーやパグなどの短頭種に比較的多く見られます。

  • 眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)
    まぶたが内側にめくれてしまい、まつ毛が常に角膜を刺激している状態です。
    この刺激によって角膜炎や結膜炎を引き起こし、目が赤くなります。特に子犬の時期や、柴犬、ブルドッグなどで見られることがあります。

  • チェリーアイ・第三眼瞼腺逸脱(だいさんがんけんせんいつだつ)
    目頭にある第三眼瞼腺という涙を作る組織が、赤く腫れて飛び出してしまう病気です。
    見た目がサクランボのように見えることから「チェリーアイ」と呼ばれます。子犬での発生が多く見られます。放置すると涙の分泌に異常をきたすことがありますので、手術による治療が薦められます。

このように、犬は年齢によって特定の目の病気が起こりやすい傾向があります。特に歳を重ねると、白内障や緑内障、腫瘍などのリスクが高まるため、より一層の注意が必要です。

「目が赤い」以外の症状に注目!危険度をチェックしよう

愛犬の目が赤いとき、他の症状をあわせて観察することが、状態の緊急性を判断する上で非常に重要です。

  • 目をしょぼしょぼさせる、前足でこする、床にこすりつける
    → 痛みやかゆみのサインです。角膜に傷がついている可能性があります。

  • 目やにが多い(色や状態をチェック)
    → 透明や白色なら涙や、病気ではない自然な分泌物の場合もありますが、黄色や緑色のドロっとした目やには、細菌感染が疑われます。

  • 涙が絶えず流れている
    → 痛みや異物による刺激、または涙が鼻に抜ける管(鼻涙管)が詰まっている可能性が考えられます。

  • 白目がゼリー状にぶよぶよしている(結膜浮腫)
    → 強いアレルギー反応や炎症が起きているサインです。

  • 黒目が白く濁っている
    → 角膜の傷や炎症、白内障、緑内障など、深刻な目の病気の可能性があります。

  • 左右の瞳の大きさが違う
    → ぶどう膜炎や緑内障、神経系の異常などが考えられます。

  • 元気や食欲がない、ぐったりしている
    → 目の病気だけでなく、全身性の病気が隠れている可能性があります。

これらの症状が一つでも当てはまる場合は、様子を見ずにすぐにご来院ください。

ご家庭でできる応急処置と観察のポイント

動物病院に行く前に、ご自宅でできること、そしてしてはいけないことがあります。正しい対処で、症状の悪化を防ぎましょう。

  1. 目をこすらせない
    最も重要なことです。犬は気になると前足でこすってしまいますが、これにより角膜を傷つけ、症状を悪化させる危険があります。エリザベスカラーをお持ちの場合は、すぐに装着してください。

  2. 目の周りを優しく拭く
    目やにや涙で目の周りが汚れている場合は、湿らせた清潔なコットンやガーゼで優しく拭き取ってあげましょう。ただし、絶対に眼球を直接触ったり、こすったりしないでください。

  3. 安静にさせる
    興奮すると血圧が上がり、目の充血がひどくなることがあります。お散歩は控えめにし、薄暗くした静かな部屋でリラックスさせてあげましょう。

受診の際に、以下の情報を獣医師に伝えていただくと、診断の大きな助けになります。

  • いつから目が赤いか

  • 片目だけか、両目か

  • 他にどんな症状があるか(目やにの色、涙の量、痛みの有無など)

  • 症状は悪化しているか、変わらないか

  • 元気や食欲はあるか

  • 最近、変わったことや思い当たることはあるか(シャンプー、新しいフード、旅行など)

可能であれば、症状が出ているときの愛犬の目の写真をスマートフォンなどで撮っておくと、診察時に役立ちます。

危険なサイン!夜間でもすぐに動物病院へ連れて行くべき症状

以下の症状が見られる場合は、緊急性が高いと考えられます。速やかに動物病院を受診してください

  • 強い痛みで目を開けられない、ずっと閉じている

  • 急に目にぶつかるようになったり、物にぶつかったりするなど、視力が低下した様子が見られる

  • 目が飛び出して見える、明らかに腫れている

  • 黒目が白く濁っている、または赤く見える

  • 嘔吐や下痢、けいれんなど、全身の症状を伴う

  • 事故やケンカなど、明らかな外傷がある

特に緑内障は迅速な診断・治療が、その後の視力を大きく左右します。手遅れになると失明してしまうため、ためらわずに受診することが愛犬の目を守ることに繋がります。

動物病院ではどんな検査や治療をするの?

動物病院では、原因を正確に突き止めるために、いくつかの検査を行います。

  1. 問診・視診
    飼い主様から詳しくお話を伺い、目の状態を視覚的に丁寧に観察します。

  2. 眼科基本検査

    • シルマーティアテスト(涙液量検査): 涙の量が適正かどうかを調べます。

    • フルオレセイン染色(角膜染色検査): 角膜に傷がないかを調べる検査です。傷があると染色液で緑色に染まります。

    • 眼圧検査: 眼球内の疾患の診断のために、眼の圧力(張り)を測定します。

  3. 精密検査

    • 眼底検査: 目の奥(網膜や視神経)の状態を観察します。

    • 超音波検査: 目の内部の構造を画像で確認します。白内障が進行している場合や、眼内に出血がある場合などに有効です。

    • 血液検査: 全身の病気の症状が眼に現れていることも珍しくありません。全身の健康状態のチェックは眼の病気の診断の基本です。

これらの検査結果を総合的に判断し、診断を確定します。

治療は、その原因によって大きく異なります。結膜炎や角膜炎などには、抗生剤や抗炎症剤の点眼薬が主に処方されます。緑内障の場合は、眼圧を下げるための点眼薬や内服薬、場合によっては外科手術が必要になることもあります。

よくある質問

  • 人間用の目薬は使ってもいいの?
    人間用の目薬には、犬には有害な成分が含まれていたり、刺激になったりすることがあります。
    また、症状に合わない目薬を使うことで、かえって病気を悪化させる危険性が非常に高いです。自己判断での使用は絶対にやめてください。

  • 目を洗浄したほうがいい?
    水道水などで目を洗うと、角膜を傷つけたり、浸透圧の違いで目にダメージを与えたりする可能性があります。獣医師の指示なく行わないでください。

愛犬の目のサインを見逃さず、早めの相談を

愛犬の目が赤いという症状は、飼い主様にとって非常に心配なサインかと思います。その原因は、一過性のものから、緊急を要する失明のリスクがある病気まで様々です。

  • 犬の目が赤くなる原因は、軽い刺激から重い病気まで多岐にわたる。

  • 目やにの色、痛み、他の症状など、赤み以外のサインも注意深く観察することが重要。

  • 人間用の目薬の自己判断での使用は絶対にNG。

  • 「強い痛み」「急な視力低下」「目の濁り」などは、緊急性の高い危険なサイン。

安易な自己判断は、かえって愛犬を苦しめてしまう可能性があります。

「いつもと違うな」「なんだかおかしいな」と感じたら、それは愛犬からの大切なSOSサインです。

不安な気持ちを飼い主様だけで抱え込まず、私たち獣医師にご相談ください。早期に適切な診断と治療を行うことが、愛犬の目の健康、そして視力を守るために最も大切なことです。


豊田市のかなくぼ動物病院では、一般診療に加え、眼科診療にも力を入れています。最新の眼科用検査機器を用いて、正確な診断と丁寧な治療を心がけております。

愛犬の目の充血やしょぼつき、目やになどでお困りの際は、お一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

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