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犬と猫の子宮蓄膿症

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子宮蓄膿症とは

今回はワンちゃん猫ちゃん共通の話題で,子宮蓄膿症についてお話しします。

子宮蓄膿症とは、子宮の中に細菌が入り込み,子宮が腫れて内部に膿がたまる病気です。一般的には避妊手術を行っていない(子宮を摘出していない)高齢の犬に多く,発生頻度は少し下がりますが猫にも起こります。

かつては発生が極めて多い病気でしたが,避妊手術が一般的になった現在,発生頻度は昔に比べると少なくなりました。しかし避妊手術を行っていないワンちゃんや猫ちゃんにとっては,未だに大変恐ろしい病気であることに変わりはありません。また最近では若齢の動物での報告も増えてきていますので,若い子でも油断は禁物です。悪化すると命に関わる可能性が高い病気ですので,早期診断と積極的な治療が重要となります。

A.子宮蓄膿症の主な症状

初期段階ではハッキリとした症状はありませんが,進行するにつれ,多飲多尿(水をよく飲みたくさんオシッコをする),食欲不振や吐き気,元気消失,発熱,腹部膨満(おなかが張っている),陰部を気にして舐めるなどの症状が現れます。陰部から膿や出血が見られることもあります。その中でも子宮蓄膿症において最も特徴的な症状は「多飲多尿」で,明らかに水を飲む量が多くなります。避妊手術をしていない女の子であまり食欲が無いのにたくさん水を飲む場合には,まずはこの病気を疑う必要があります。

診断・治療が遅れると,細菌の影響が全身に広がり多臓器不全に陥ったり,子宮破裂から容体が急変したりし,最終的には命を落とすことになります。

B.子宮蓄膿症になる原因について

子宮蓄膿症の原因は細菌感染ですが,だからといって飼育環境が不衛生だったり,フードが汚染されていたりといったことが原因にはなりません。子宮蓄膿症を起こす原因菌は,大腸菌やブドウ球菌など,どこにでもいる極めてありふれた細菌です。子宮蓄膿症が起こるのは,特殊な細菌が子宮に侵入したからではなく,子宮の抵抗力が落ちたからなのです。

もともと子宮は,発情のサイクルに伴い抵抗力が落ちる時期があります。これは受精卵を受け入れる体のメカニズムで,動物に元々備わっている機能です。ただそのタイミングに細菌が子宮内に侵入すると,感染をゆるしてしまうことがあるのです。

C.子宮蓄膿症にかかりやすい品種

特定の品種などの報告はありませんが,避妊手術を受けていない雌犬,特に出産経験のない高齢犬に多発します。猫は犬と発情の仕組みが異なるため,そもそもの発生頻度は少ないですが,不思議と年齢に関係なく(若くても)発生するように感じます。

D.子宮蓄膿症の検査・診断

症状などで子宮蓄膿症が疑われる場合には,いくつかの検査により診断を行います。血液検査で白血球の増加や炎症マーカーの上昇など,細菌感染と強い炎症の可能性が認められること,レントゲンや腹部エコー検査で子宮が腫れ,内部に膿が溜まっている様子が確認されることが主な診断法となります。

E.子宮蓄膿症の治療法

子宮蓄膿症の治療は内科的治療と外科的治療に分けられますが,ほとんどの場合において外科的な治療が選択されます。

内科的治療

内科的治療は抗生物質と子宮の収縮を活発化させる薬剤を使用する方法で,感染を抑え溜まった膿を排出させることで状態の改善を目指します。しかし,治療の成功率が高くないこと,成功しなかった場合には治療が大幅に遅れ,死亡する可能性が高くなること,また治療うまくいっても次の発情のサイクルで再発する可能性が高いことなどの理由から,やむを得ない場合以外は選択されません(少なくとも僕はほとんど行いません)。

外科的治療

外科的治療は,膿の溜まった子宮と卵巣を手術により摘出する治療法です。直接的な原因となる子宮を摘出してしまうので,治療の成功率が高く再発も無いことから,一般的にはこちらの方法が選択されます。ただし,状態が悪い動物に全身麻酔をかけ手術を実施することになるため,中には麻酔や手術の負担に耐えられずに命を落としてしまう場合もあります。手術の成功率を高める一番良い方法は,早期に診断をして早い段階で手術に踏み切ることです。

F.子宮蓄膿症の予防と対策

当たり前の話なのですが,避妊手術を行えば予防することができます。子供を産ませるご意向がない場合は,他にもメリットが多いので,早めに避妊手術を行うことをお勧めしています。しかし,飼い主さんの中には愛犬,愛猫のかわいい子供が見たいという方もいらっしゃいます。そのような方は早期発見できるように常日頃から健康診断を受け,愛犬,愛猫の体調に気をつけて生活していきましょう。

子宮蓄膿症のまとめ

子宮蓄膿症は子宮に細菌が感染し,体調がみるみる悪化し,高い確率で死亡する恐ろしい病気です。主に手術でしか治療ができませんが,避妊手術を行っておくことでほぼ完全に予防が可能です。避妊手術を行っていない動物では子宮蓄膿症の可能性を含め,健康診断などでの早期発見を心がけるようにし,日頃から「子宮蓄膿症と診断されたらすぐに手術に踏み切る」という心の準備が大切です。

本コラムの内容は,一獣医師の私見であり,内容を獣医学的に保証するものではありませんし,古い情報,誤った情報が含まれている可能性があります。参考にされる際には,内容を鵜呑みにせず,必ず信頼できる獣医師とよく相談の上,病気で苦しんでいる動物たちに最も良い治療法を探してあげてください。本コラムがその助けになれば幸いです。

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