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犬と猫の白内障

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今回はワンちゃん猫ちゃん共通の話題で,白内障です。非常に多くの子に見られる病気であるにもかかわらず,「歳だからしかたがない」という形で放置されてしまう状況によく遭遇します。しかたがないと判断する前に,まずは白内障に関してある程度の知識を持っていただきたいと思います。

白内障はヒトでも一般的な病気なので,飼い主さんも皆さんご存じだと思いますが,高齢の犬や猫にもとてもよく見られる眼科疾患です。眼の中にある水晶体(レンズ)が白く濁り,視力の低下を引き起こします。また他の眼疾患の引き金になることもあり,これらが悪化すると最悪の場合は失明の可能性もあるため,決して油断できない病気です。

1.白内障の主な症状

白内障は基本的には眼の水晶体が白く濁る病気であるため,症状は主に視力の低下のみです。徐々に進行することが多いため,少しずつ視覚症状(散歩中につまづく,物にぶつかる,投げたおもちゃが見つけられない,階段を怖がるなど)が進行していきます。イメージとしては「曇りガラスごしに外の世界を見ている」ような状況です。一般的には痛みなどの違和感は生じませんので,涙が出たり眼が充血することはありません。また体調の悪化などを引き起こしたりもしません。

ただし後にも述べますが,重度の白内障は他の眼の病気を引き起こすことがあります。代表的なものは緑内障やぶどう膜炎です。これらは眼の中に激しい炎症を起こしますので,強い眼の痛みと充血が起こります。これらがの疾患は失明の危険が高いため,「たかが白内障」だと油断せず,定期的な観察が重要となります。

2.白内障になる原因について

圧倒的に発生率が高いのは,高齢性白内障です。加齢に伴い発症する白内障で,通常はゆっくりと進行していきます。10歳を超える犬では多少なりとも症状が確認できることが多いですが,実は6歳くらいから少しずつ病気が進行していることも多いので,まだ若いと思っても注意が必要です。高齢性の白内障以外にも,遺伝性白内障,外傷性白内障(眼に外傷が生じることで発生),代謝性白内障(糖尿病などの内分泌疾患により発生)などがあります。若くしてレンズが濁るような場合には,一般的な高齢性の白内障ではない可能性が高く,対応が全く違いますので要注意です。

3.白内障にかかりやすい品種

加齢性の白内障に関しては,特に品種による違いは報告されていませんが,若いうちに発症する遺伝性の白内障には,発生頻度の高い品種の報告があります。
ビーグル、ミニチュアシュナウザー、(ゴールデン,ラブラドール)レトリバー、アフガンハウンド、ボストンテリア、(スタンダード,トイ)プードル、キャバリア、アメリカンコッカー,ウエスティ,ボーダーコリー
ペルシャ,ヒマラヤン,バーマン

4.白内障の検査・診断

白内障の診断はある意味簡単で,レンズが白く濁っているかどうかで判断できます。しかし,治療法の項目でも書きますが,ハッキリと白く濁ってしまった白内障は,手術以外に治療法がありません。点眼薬など内科的な治療で効果が確認されているのは,極めて初期の白内障のみです。この段階の白内障は眼を普通にのぞき込んでも異常は分かりません。症状も全くありませんので,健康診断などの際に眼科専用の検査機材を用いて,レンズの濁りを見つけるしかありません。手遅れになる前に,眼の健康診断を定期的に受けられることをお勧めします。

5.白内障の治療法1:内科治療

極めて初期の段階での白内障であれば,点眼薬が効果的な場合もあります。ただし,白内障は加齢に伴い進行する病気ですので,基本的には治すというより進行を遅らせるということを目的に点眼を継続します。これにより将来起こる視力の低下による負担を,最小限にすることができるはずです。

6.白内障の治療法2:外科治療

進行してしまった白内障の場合には,残念ですが点眼薬,サプリメントなどでの治療で改善することはありません。視力の低下により生活に支障が出るような場合には,外科を実施することが唯一の治療法になります。濁ったレンズを特殊な機器で吸引し,人工レンズを挿入することで元の視力を取り戻すことができます。しかし,この白内障手術にはいくつかのハードルがあります。

1.特殊な手術です

特殊な医療機器を使用し,特殊な技術を要する手術ですので,一般の動物病院では実施できません。申し訳ありませんが当院でも実施できませんので,専門病院をご紹介する形となります

2.全身麻酔が必要です

ヒトの白内障の手術は局所麻酔で短時間で終了する手術ですが,動物においては全身麻酔をかけ,時間のかかる大がかりな手術となります。高齢の動物には負担の大きい手術となるため,十分なご理解が必要です。

3.成功率は100%ではありません

手術後に完全に視力を取り戻せる(見た目にも全く違和感が無い)状態になる可能性は100%ではありません。時に手術を行ったあとで眼球がより濁ってしまったり,レンズを正しい位置に固定できなかったりと,期待通りの結果とならないこともあります。

4.費用がかかります

特殊な機材と技術を必要とする専門的な手術ですので,手術前の検査,手術,手術後の治療を合わせると,かなり高額な費用がかかります。

以上の理由から,広く一般的に実施されている手術とはまだまだ言えないのが現状です。

7.白内障の予防と対策

白内障を生活の中で予防するということは正直難しいと思います。ご心配であれば中年齢くらいから眼の健診を定期的に受け,早期発見のうえで点眼で進行を遅らせる努力をするのが唯一の予防と言えます。

また進行した白内障で手術を実施できない場合には,経過を見るしか方法がありませんが,(症状の項目でも少し触れましたが)白内障は進行すると緑内障やぶどう膜炎といったさらに恐ろしい眼の病気に進行することがあるため,日頃のご自宅での眼の観察と定期的な検診でのチェックが重要となります。眼の充血,しょぼつき,眼ヤニの増加など,一般的な白内障では見られない症状が見られた場合には,失明のリスクがあるため,速やかに動物病院の受診をお願いします。

白内障のまとめ

白内障は加齢に伴う病気で,やむを得ないものと考えていらっしゃる飼い主さんも多いですが,定期的な検査と積極的な治療で進行を抑制することができる可能性があります。また白内障は視力が低下するだけでなく,他の疾患へと進行することで失明を起こす可能性もあるため,すでに眼が白い子も,放置せずに定期的なチェックを行うことが重要です。

本コラムの内容は,一獣医師の私見であり,内容を獣医学的に保証するものではありません(古い情報,誤った情報も含まれていると思います)。参考にされる際には,内容を鵜呑みにせず,必ず信頼できる獣医師とよく相談の上,病気で苦しんでいる動物たちに最も良い治療法を探してあげてください。本コラムがその助けになれば幸いです。

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